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約35km離れた「病診」を医師が行き来

スペシャル企画 2013年3月7日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

「公立志津川病院は今、南三陸町の診療所と、内陸部の入院機能に分かれている。2012年10月から常勤医が3人増え、常勤医は震災前の5人から8人に増加した(そのほか、歯科医師が震災前後で1人)。しかし、両方に当直が必要であり、負担は震災前とほぼ同じ。今も月約10回は当直している」。こう語るのは、宮城県南三陸町の公立志津川病院副院長の西澤匡史氏だ。 公立志津川病院(一般病床76床、療養病床50床)は、5階建ての建物のうち、4階まで津波の被害を受け、患者、職員の多数が犠牲者となった(『南三陸町、医療再生への一歩踏み出す』を参照)。南三陸町には同院のほか、6つの診療所があったがいずれも全壊。その後、公立志津川病院は、近隣の登米市米山町で、病院から診療所に転換した「よねやま診療所」の空きベッドを利用して、一般病床38床の病院として運営、公立南三陸診療所もオープンさせた。診療所は他に2軒が再開したのみだ。 南三陸診療所と病院の距離は約35km、車で40~50分かかる。医師らは両者を行き来する日々だ。震災後、西澤氏の当直が一番多かったのは2011年8月で、月16回に上った。昨年も12~14回だった。 ...