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救急医療、原発事故を機に崩壊の危機 - 菊地臣一・福島県立医科大学学長に聞く◆Vol.2

スペシャル企画 2013年3月11日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――福島県全体の地域医療の現状をどう受け止めておられるのでしょうか。 日常診療を守るのに精一杯のところに、原発事故が起き、県民の健康管理の仕事が増え、“医療崩壊”が起きています。象徴的なのは、救急医療。福島県の県南地域では、救急医療の中心となる白河厚生総合病院には、原発事故以降に住民が増えた、いわき市の方からも搬送されています。救急を受けられない場合、隣の須賀川市の公立岩瀬病院、さらには(車で1時間以上はかかる)会津中央総合病院まで、時には本学まで搬送されることもあります。一歩、どこかで歯車が狂うと、言葉は嫌ですが“たらい回し”が起きる。 「福島県立医科大学会津医療センターでは、超高齢社会における医療を在り方を提言していきたい」と語る菊地臣一氏。 1次、2次、3次救急という体制は崩壊しています。本学には救急救命センターがありますが、1次救急が40%、2次救急が40%、3次救急が20%という割合です。この状態では3次救急が手薄になってしまう。 抜本的な対策の一つとして、ER型の救急医療の体制を整える必要があると考えています。複数のチームを作り、チームを他の地域に派遣することも考えています...