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産科補償の訴訟への影響、現状では評価できず

レポート 2013年4月4日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

4月2日の産科医療補償制度の第19回運営委員会で、2005年から2011年の7年間に脳性麻痺と推定される理由で、患者側から分娩機関に損害賠償請求されたのは計296件、そのうち訴訟提起されたのは118件であることが報告された。2005年以降に出生した児に限ると、損害賠償請求は223件、訴訟提起は77件。従来、産婦人科全体の損害賠償請求等のデータはあったが、脳性麻痺に限った件数が明らかになったのは今回が初めて。 損害賠償請求と訴訟提起のいずれも減少傾向にある。しかし、紛争の防止と早期解決を目的とした産科医療補償制度がスタートしたのは2009年1月であり、経過年数が短い児は今後、損害賠償請求等をする可能性があることから、同制度を運営する日本医療機能評価機構は、「産科医療補償制度による損害賠償請求や訴訟提起への影響は、現時点では評価できない」との見解を示している。 今回公表されたのは、損害保険会社5社に依頼し、提供されたデータ。ただし、「脳性麻痺」と特定できるデータ収集の仕組みではなかったため、「産科に関するもので、脳に何らかの障害があり、運動障害が生じている」事例を「脳性麻痺」と見なし、それ...