皆保険は「没落」の危機 - 大島伸一・国立長寿医療研究センター総長に聞く◆Vol.2
インタビュー
2013年6月4日 (火)
聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
――高齢者の全体を診る医師は今どこにいるのか。どのように養成していけばいいとお考えですか。 例えば、老年科医。その養成は遅れているという以前に、80の医学部に23しか老年科の講座がないという問題がある。これには、制度の構造的な問題だけでなく、医師の専門職能団体の責任も当然ある。もう一つは、患者、国民の意識の問題。もっと言えば、医療の全体を見て、どんな方向に持っていくのか、どんな医師の養成が必要なのかを判断しなければ解決ができないが、それをするのはいったい誰か。 大島伸一氏は、TPPなどの外的要因だけでなく、制度改革に消極的、あるいは抵抗する内的要因でも、国民皆保険は崩壊の危機にさらされるとの危惧を持つ。 ――それは政治家かと。ただそれ以前の問題として、医師がプロフェッショナルとして解決すべき課題はあるかと。 全くその通りで、誰かが、「総合計画」を立てて、「老年科医は、これだけ必要」と決め、大学がそれに向けて医師を養成するような仕組みに持っていかなければいけない。ところが、大学は文部科学省管轄、卒後の医師の研修や医療は、厚生労働省管轄。大学を見れば、「大学の自治、学問の自由」がそれを妨げ...
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