1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. “医療事故調”の終わりと医療側に求められること 

“医療事故調”の終わりと医療側に求められること 

オピニオン 2013年6月10日 (月)  中澤堅次(医療制度研究会理事長、秋田労災病院第二外科部長)

私が構成員を務めていた、厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等に関する検討部会」が終わった。第三者機関中心か、院内調査を主体とするか、白熱した議論が行われたが、厚生労働省が「とりまとめ案」を出し最終結論に至った(『院内調査、「外部の医療者の支援」が原則』を参照)。 医療施設は、予期せぬ診療結果による死亡例を、第三者機関に届け出た上で院内調査を行い、遺族に説明し、再発防止の検討を行った後、第三者機関に報告するという流れになり、第三者機関は院内調査の助言指導、再発防止のための改善立案、事例の集積と公開を行う民間機関という位置づけになった。しかし、院内調査に納得しない事故被害者または医療側から申請を受けて調査を行い、結果を両者に提示するという裁判所のような役割を残し、「原則として」という注釈付きながら、院内調査にも専門第三者を参加させる監視強化も盛り込まれている。 2008年の第3次試案や大綱案と大きく異なるのは、調査の主体が第三者機関から院内調査に移り、第三者機関は再発予防のための調査機関という位置付けになったことである。したがって、第三者機関が事例を選んで介入するという運用は無くなっ...