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”分娩に関連した脳性麻痺”への限定、問題あり

オピニオン 2013年7月8日 (月)  山崎裕充(島原市医師会理事、山崎産婦人科医院)

産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児と家族に総額3000万円の補償金を給付する制度として、公益財団法人の日本医療機能評価機構(以下、機構)の運営のもと、2009年1月からスタートしました。制度創設時に「5年後をメドに必要な見直しを行う」との方針が示されていたことから、各方面で制度の見直しが議論されています。 制度の約款にある“分娩に関連して”発症したという表現は分かりにくく、制度が発足した当初から問題になっていました。“分娩に関連して”とは、単に分娩後の新生児期の脳性麻痺と区別するためだけの表現なのでしょうか。一般の人々は、脳性麻痺はお産中の何らかのまずい出来事があった結果として起こり、それは理想的な分娩管理を行えば防ぐことができるものだと考えています。逆に言うと、脳性麻痺が起これば、それは産科サイドの分娩のやり方が悪かったために起こったとして医療紛争の種となっています。このように“分娩に関連して”というのは、一般の人は“分娩が原因となって”と認識しています。 現在における周産期医学の世界的なコンセンサスは、分娩が原因となる脳性麻痺は圧倒的に少なく、脳性麻痺全体の内...