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JL706便事故の機長語る“事故調”の要諦 - 高本孝一氏に聞く◆Vol.1

インタビュー 2013年8月20日 (火)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

「裁判になるのは、望むところだった」。こう語るのは、1997年6月の日本航空706便事故の機長だった、高本孝一氏だ。高本氏は業務上過失致死罪で起訴されたが、それに先立つ、当時の運輸省事故調査委員会の調査に、全く納得が行かなかったからだ。裁判の結果は無罪。 この6月に、事故から裁判までの詳細な記録と、航空事故調査の内幕を赤裸々につづり、問題点に切り込んだ『真実の口』(本の泉社)を上梓した。高本氏は現在、日本乗員組合連絡会議の事故対策委員を務める。航空事故と医療事故には類似点が多く、航空事故から学ぶべき教訓は多い。 医療事故調査についても、第三者機関の設置が検討されている折、高本氏に本書出版に込めた思い、事故調査の要諦などをお聞きした(2013年8月12日にインタビュー。計5回の連載)。 ――この本をお書きになろうと思ったのは、いつ頃なのでしょうか。 本を書こうと考え始めたのは、1997年6月にJL706便の事故が起きてから1年くらい経った頃です。私は最初、当時の運輸省の航空事故調査委員会(編集部注:現在の運輸安全委員会)は、「もう少しまともな事故調査をやってくれる」と思っていたのです。し...