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「これで持続可能なのか」、国民会議報告書

オピニオン 2013年8月27日 (火)  渡邉賢治(京都府保険医協会副理事長)

政府の社会保障制度改革国民会議が報告書を取りまとめ、8月6日に安倍晋三首相に提出した。同会議は昨夏の自公民3党による「社会保障・税一体改革」の合意に伴い成立した社会保障制度改革推進法(以下、推進法)に基づき、消費税増税の増収分を踏まえた社会保障改革を具体化するために設置されたものである。政府は報告書を踏まえ、改革時期を示した「プログラム法案」の骨子を21日に閣議決定し、秋の臨時国会へ提出する。その後は順次、個別実定法の改正法案を来年の通常国会から提出し具体化するとされる。 「自助の共同化」から導き出した公的責任後退の正当化 今後の社会保障改革に関わって本報告書が果たすであろう大きな役割を中心に問題点を指摘しておきたい。 本報告書の最大の眼目は、推進法の基本的考え方である「自助・共助・公助」論に理論的正当性を与え、社会保障における公助の縮小、国の役割後退にお墨付きを与えたという点にある。 報告書は、「共助」に対し推進法からさらに踏み込んで「自助の共同化」という概念規定を施した。自助努力の社会的塊が共助であり、その制度的具体化が医療や年金などの社会保険だというのである。ここからは、社会保険...