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『ハリー・ポッター』に見る日英の社会保障格差

オピニオン 2013年9月9日 (月)  愛知県保険医協会

『ハリー・ポッターシリーズ』第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』を執筆していた当時、著者ローリングさんが貧しいシングルマザーとして生活保護を受けていたことをご存知だろうか。その後の彼女の活躍は誰もが知るところだが、年収約1億2500万ポンドは、「歴史上最も多くの報酬を得た作家」とされている。英国政府は彼女への生活保護支出より100万倍以上の税金を得たわけだ。 翻って、我が国の生活保護はどうだろうか。8月から生活保護費の基準額が引き下げられた。特に子育て世帯への影響が大きく、4人家族では最大月7000円、3年間にわたる引き下げで2年後には月2万円が生活費から減らされる。最大10%もの引き下げは深刻だ。円安で電気代、食料品など値上がりが続き、来春には消費税増税も予定されているのに。 非正規雇用の広がりなどで現役世代の受給者が増加しており、交通費など外出が抑制されれば社会参加の機会も減る。これでは、就労支援・自立支援で受給者を減らす=保護費削減に貢献しない。 生活保護基準引き下げは、就学援助や最低賃金水準に連動するほか、住民税の非課税限度額・高額療養費制度、国保料(税)・一部負担金の減免、介...