1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 善意の「呼び寄せ症候群」に注意を

善意の「呼び寄せ症候群」に注意を

オピニオン 2013年9月10日 (火)  村上智彦(ささえる医療研究所理事長)

地域から比較的人口の多い都市で仕事をするようになって、「呼び寄せ症候群」という言葉を勝手に使うようになりました。 これは「田舎に住む高齢の方が、様々な事情で息子さんや娘さんの住む都市部に呼び出されて住むようになって、弱ったり、認知症が進んだりする状態」を言います。 もちろん息子さん、娘さん達は、年老いた親を気遣い、自分の近くに置きたいという思いですし、呼ばれる親にしても身内と住む事は安心もあるでしょうし、お孫さんの顔も見られるようになるといった事もあるのだと思います。 しかし多くの場合、高齢者の方は今までの生活、友人、地域や物語から分断されてしまい、住みなれない都会に身を置く事になります。友人も居なければ、知らない大きな町では何処に行くのも大変です。人によっては「危ないから」と言われ、家人が帰るまでマンションやアパートで何もしないで過ごしたりしますし、病気があったり、介護が必要だと施設や病院に入る事になります。 実は最近 北海道でも比較的大きな町の高齢者の施設に講演で行ってきました。そこの入居者は100人以上いるのですが、自ら希望して入った方は1人だけという話を聞きました。核家族化が進...