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ベートーヴェンの難聴はワイン飲み過ぎ?

オピニオン 2013年9月19日 (木)  倉原優(呼吸器内科医)

・はじめに ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)(1770年~1827)は、古典派からロマン派にかけての作曲家で、いかなる楽器を手にしても必ず演奏することになる作曲家と言われているほど多様な曲をかいています。 ベートーヴェンの真髄は交響曲にあると私は思っていますが、個人的にピアノを嗜んでいることもあって、後期のピアノソナタが非常に気に入っています。大学生の頃は熱情ソナタ(op. 57)にあこがれを持っていたものです。 ベートーヴェンは、20歳代後半から持病の難聴が悪化し、30歳になる頃にはほとんど耳が聞こえなくなってしまいました。補聴器なんてなかった時代です。彼がピアノに耳を当てて作曲をしていたという逸話は、誰しも聞いたことがあるでしょう。そして、とうとう40歳には全聾になりました。 ・難聴の原因は鉛中毒が有力 ベートーヴェンの毛髪から通常の100倍近い鉛が検出されて注目を集めました。この原因として、ワインの甘味料として用いられた酢酸鉛とする説が有力です。 Stevens MH, et al. Lead and the deafness of...