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生きづらい社会でいいのか

オピニオン 2013年9月24日 (火)  東京保険医協会

社会保障制度改革国民会議の最終報告を受けて、安倍政権は介護、医療、年金、保育の諸制度を改変する手順を、8月21日に閣議決定した。秋の臨時国会に「プログラム法案」として提出される。社会保障の全面的な改悪であり、人が人らしく生きられる社会が、また遠くなる。 介護保険では要支援1、2に該当する150万人を保険給付から外して地域自治体とボランティア活動に委ね、要介護1、2の人は施設から締め出すという方針が示された。利用料の引き上げも実施される。介護予防、介護の社会化を進めてきた努力が強力に押し戻されることになった。家族を介護するために離職する人が増加すれば、経済的困窮が表面化する恐れもある。しかし生活保護の認定は、門前払いする体制が固められつつある。 医療では病床数の削減を意図する「病床の機能分化」が進められ、70~74歳の医療費窓口負担を2割に引き上げるという。失業と低賃金のために国民所得が減少するなかで、必要な医療を受けられない人が増加する恐れがある。消費増税が行われれば、受診抑制はさらに進むだろう。 国民健康保険(国保)の運営を都道府県に移管することにも大きな問題がある。国保の加入者は中...