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福島を家庭医療のメッカに - 葛西龍樹・福島県立医大地域・家庭医療学教授に聞く◆Vol.5

インタビュー 2013年10月16日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――今回、総合診療医の制度化に向けて、さまざまなタイミングが一致したと思います。一つは、東日本大震災であり、被災地ではDMATなど急性期医療以上に、カルテや薬などを流されてしまった多数の高齢の被災者に対するプライマリ・ケアの重要性が認識された。社会保障・税一体改革もあります。先ほども言われましたが、「今、変わらなければ、いつ変わるのか」と。 そうです。福島県の場合は、福島第一原発事故に伴う放射線被害の問題もありますが、急性期の反応を起こした人はほとんどいないわけです。しかし、今後、何らかの慢性の被害があるかもしれないとの不安がある。また社会的な風評被害もある。このような福島では、「手遅れになった人を集めて対応する」ためのセンターを作っても意味がない。それよりも、プライマリ・ケアの視点から、放射線被害を心配する人たち、予防をしていかなければいけない人たちにきちんと対応していく必要がある。 2014年2月に、WONCAの会長が来日する予定で、「世界トップレベルの家庭医とは何かを知っていただきたい」(葛西龍樹氏)。 ――先生の教室では、震災への対応として、プライマリ・ケアのネットワークの構築...