1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 胸部X線の教育は正しいが現実的ではない

胸部X線の教育は正しいが現実的ではない

オピニオン 2013年10月25日 (金)  倉原優(呼吸器内科医)

●はじめに 私は個人的に「胸部レントゲン」と呼んでいますが、「胸部X線」、もっと詳しく書くと「胸部単純X線」という言葉が正しい医学用語だと思います。別にヴィルヘルム・レントゲンをリスペクトして「胸部レントゲン」と呼んでいるわけではありませんが、呼吸器科医の多くがそう呼んでいるのが現状です。10年後くらいには死語になっているかもしれませんが……。 ―――「胸部レントゲン写真が読影できる」というのは、簡単な言葉ですが奥が深い言葉です。哲学と言っても過言ではありません。ちなみに「胸部レントゲン写真が読影できる」と「胸部レントゲン写真を読影して正しい診断ができる」は全く別次元の話です。どれだけ胸部レントゲン写真の読影に長けた人間が見ても、診断が不可能な陰影なんてそれこそ山のようにあります。慢性好酸球性肺炎だと思っていたら特発性器質化肺炎だった、市中肺炎だと思っていたら肺結核だった、などなど。胸部CTよりもはるかに情報量は少ないのです。 ●読影方法の理想と現実 胸部レントゲン写真の読影について色々な書籍を眺めていると、「まずは撮影条件をチェックする」、「読影に値するかどうか評価をする」、「骨と軟...