1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 慢性疾患ある小児の成長を支えるには

慢性疾患ある小児の成長を支えるには

オピニオン 2013年10月28日 (月)  五十嵐隆(東京大学医師会長)

わが国の乳児死亡率(1000出生に対して)は2.3で、人口数が1千万人以上の国のなかで最低を誇ります。さらに、医学の進歩により、これまで治療困難であった子どもの難病も治療が可能になり、長期生存が可能になってきています。たとえば、小児急性白血病の5年生存率は80%以上で、二分脊椎患者の90%以上が長期生存可能で、左心低形成症候群患者の約60%が成人を迎えることができるようになっています。また、体重が1000g未満の極低出生体重児の生存率も著しく向上しています。 しかしながら、進歩した現在の医療も完璧ではありません。長期生存ができている急性白血病の患者に抗がん薬による中枢神経障害や二次がんが出現することがあります。先天性心疾患に対する心内整復術によって新たに作られた血行動態が長期間続くことにより、不整脈や肺血管の障害が出現することがあります。さらに、救命された低出生体重児であった子どもに慢性の肺機能障害や中枢神経障害・発達障害が出現することがあります。これらの異常は長期生存する子どもが思春期あるいは成人になっても治癒せずに、治療や療養の対象となることが少なくありません。また、以上のような重...