縦割り医療に安住する大学病院
オピニオン
2013年10月31日 (木)
長尾和宏(長尾クリニック院長)
95歳の老衰で寝たきり患者さんの在宅医療を依頼された。ガリガリに痩せていて、まさに老衰としか言いようがない。要介護5の全介助。 これまでの主治医を聞いてビックリ。 なんと、ある大学病院の大教授、それも要職にある医師だった。 数年前から、月1回ストレッチャーに載せて連れていっていたが、やがて家族受診だけになり、それも面倒になって人に相談して在宅医療を知ったと。 実は同じようなことが何度かあった。 何年間も家族のお薬受診だけの大学教授の外来。主治医の意見書をどうやって書いているのか不思議でしょうがない。 家族受診だけで、インスリンを処方し続けている別の大病院。たまに低血糖の処置で往診に呼ばれるが、大先生には「まだ在宅は必要ない」と言われているとのこと。 老衰の患者さんを外来で診続ける大学病院って、いったい何だろう、と思う。死ぬまで家族受診を続けさせた偉い教授もいた。 病気も見なけりゃ、人も見ない。見るのは家族の顔だけ。 大学病院は大学病院でなきゃ診られない患者さんを診るところだと思う。しかし実態は、半数、いや大半は開業医で診られる患者さんを診ているのではないか。 患者さんの病院信仰、病院志...
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