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「尊厳死先進国」の台湾

オピニオン 2013年11月1日 (金)  長尾和宏(長尾クリニック院長)

台湾は尊厳死の法制化がなされた国であることは日本でほとんど知られれていない。昨日は、それを成し遂げた台南市にある成功大学の趙可式教授を日本尊厳死協会にお招きし、法制化前後のいきさつをお聞きして、その後、神楽坂で一緒に食事をした。 趙教授はかわいい女性。敬虔なカトリックの信者。 緩和ケアの勉強のため、アメリカに留学。イギリスのセントクリストファーにシシリーソンダース先生にも従事し、1993年に帰国。 今回、ご縁あって、趙教授が、私の「平穏死10の条件」の台湾翻訳本に前書きを書いて頂いたのだが、お会いするのは今回が初めて。 台湾版のタイトルは「善終 最美的祝福」 善い終わり、なんて素敵な表現だろう。 台湾の書籍では、「死」という文字はタブー。「末期」もダメとのことで、「終」でギリギリだそうだ。 さて、かつて台湾の医療現場では、全員、心臓マッサージ、人工呼吸が必須であった。医師たちは、それらが意味がないことが分かっているので、形式的にやっていた。 やらざるを得なかった。かつての日本と同じ。もしかしたら現在の日本も同じかも。 趙教授は、まず56名の医師を克明に調査。医師は全員、形式的な蘇生処置...