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肺炎は、本質的に「侮れない」

オピニオン 2013年11月14日 (木)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

いろいろな医療機関にお邪魔し、いろいろなドクターに会う。そのときの、まだ例外を見たことがない経験則がある。「ぼく、感染症については分かってますよ」とおっしゃるドクターは、例外なく、感染症診療がド○○だ(自主規制)、ということである。 これは、「分かっている」のレベルをどこに持っていくか、の問題である。 現在の日本の総理大臣は安倍晋三で、与党は自民党で、国会には衆議院と参議院があって、、、 こういう知識の所有者を、僕らは普通、「日本の政治が分かっている」とは言わない。むしろ、「分かっていない素人」だから、そういうレベルの知識を開陳している、と考えるべきだ。本当に詳しいひとは、こんな自明のことは口にすることすらないだろう。 同様に、感染症の患者をある数経験して、検査出して、薬出して、、、のレベルを「感染症が分かっている」と言ってはいけないのである。 感染症をまじめに勉強し、診療している人は、むしろ(こちらも例外なく)「感染症は難しい」「感染症は分からない」という。分からない、という自覚が「分かる」への最短の近道だ。 本書(編集部注『侮れない肺炎に立ち向かう31の方法』)は、「相手が勝ち誇っ...