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「格好悪い」薬ネット販売の顛末

オピニオン 2013年11月21日 (木)  楢原多計志(共同通信客員論説委員)

不快感が残った。一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売をめぐる政府とネット業者の論戦と、その結末だ。「患者のため」は上辺だけ。本質は既得権擁護と金儲けの激突で、相手を非難することで自らの過ちまで正当化する。その象徴が「対面販売」をめぐる足の引っ張り合い。餓鬼の喧嘩より始末が悪い。 ■格好悪い 当初、厚生労働省は防戦一方だった。省令で第1類と第2類のネット販売を禁止したつもりが、最高裁判決で省令そのものが違法とされ、無法(事実上の全面解禁)状態になった上、制度上の全面解禁を求めるネット業界などの激しい攻勢にさらされた。 最後は官邸に泣き付いた成果があったのか、市販薬約1万1千品目のうち99.8%の品目についてはネット販売を解禁し、例外として、(1)医療用医薬品(処方薬)から市販薬に転用されたものは安全性評価のため市販後、原則3年間、ネット販売を禁止、(2)劇薬5品目はネット販売禁止―という新ルールで押し切った。負けそうになって親に助けを求めた子供のようで、すごく格好が悪い。また全面解禁を「規制緩和の一丁目一番地」と言っていた安倍首相の豹変ぶりも格好悪い。 一方、“全面解禁の旗手”とな...