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「総合診療医」を医師会に任せて良いのか-八代尚宏・国際基督教大学教養学部客員教授に聞く◆Vol.2

インタビュー 2013年12月25日 (水)  聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)

――社会保障制度改革国民会議では「かかりつけ医」「地域完結型医療」などが盛り込まれ、プログラム法案も提出されました。この点は、どう見られていますか。 「病院完結型」でなく、「地域完結型」医療への転換については、望ましい方向と考えています。この成功の鍵は、欧州の「家庭医」に相当する「総合診療医」が、日本に定着するかです。しかし、その重要な、「総合診療医」の育成を、日本医師会に丸投げしているように見えることが懸念されます。医師会の主張する「かかりつけ医」は診療科ごとに異なる開業医を充てる可能性もあり、一人で基本的にあらゆる病気を診る国際標準の「家庭医」とは全く違うものです。厚労省は以前にも、先進国並みの「家庭医」制度を作りたいと考えていましたが、医師会の反対で頓挫しました。「総合診療医」の質の担保が大きな課題です。 「地域完結型医療」という意図は良いですが、ちょうど農協と対決しない農業改革が進まないのと同様、厚労省が医師会のご機嫌を伺いながらおそるおそるやっている印象です。今後、複数の疾病を抱え、メンタル面での問題も出てくる高齢者が増える中で、欧州の家庭医に匹敵するレベルの「総合診療医」が...