知られざる「行政医師不足」
オピニオン
2013年12月19日 (木)
倉橋俊至(全国保健所長会副会長)
医師不足が叫ばれるようになって久しい。不足でなく偏在だという意見もあるが特定の地域や診療科では明らかに医師不足がある。その陰に隠れてあまり大きくとりあげられないが、実はもう一つ深刻な医師不足がある。保健所長など公衆衛生を担当する行政医師の不足である。 保健所は現在全国に494あるが、そのおよそ1割の49の保健所で所長が不在である。地方の保健所での不足が著しいが、都市部においても実務を担当する課長・係長級の医師不足が深刻である。 東京都には31の保健所があり、医師定数は182であるが、現員は136で25%にあたる46が欠員である。特別区においても定数121、現員88で実に27%が欠員である。保健所長や予防課長の欠員はないが、保健所の支所である保健センター(保健相談所)の欠員が多い。10年前には定数205で欠員ゼロであったことから、まさに公衆衛生の現場も憂慮すべき状況である。 東京都ではこの対策として、都内13の医科大学公衆衛生学教室と意見交換会を定期的に開催している他、医師求人サイトや採用募集イベントでの普及啓発、保健所見学会の開催、パンフレットやHPの活用、給与を含む処遇改善の検討、研...
m3.comは、医療従事者のみ利用可能な医療専門サイトです。会員登録は無料です。