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医療事故・医療安全に関する文書と裁判上の提出義務◆Vol.3

オピニオン 2014年2月7日 (金)  山崎祥光(弁護士・井上法律事務所)

第4 分析(資料PDF:140KB) 3.どのような文書に開示義務があるか 裁判所は文書の目的、内容、公表の予定の有無などの前述の考慮要素を総合的に考慮して開示義務の有無を判断していますので、最終的には事例ごとの判断になりますが、整理のため二つの類型について検討します。 (1)紛争対応目的が明らかな文書 裁判例3、4、7、8、9のように、紛争対応目的で、自由かつ率直な意見が記載されることが予定され、紛争の対応方針やクレーム内容などの記載が予定され、公表が予定されていない文書は、紛争対応目的にのみ利用すること、紛争相手方に開示されると重大な不利益があることも明らかな類型と言えます。 この類型については裁判例でも一貫して開示義務が否定されており、最高裁の判断も存在するところですので、開示義務がないことが確立していると言えます。 (2)院内(組織内)での原因分析・再発防止に関する文書 院内(組織内)での原因分析・再発防止に関する文書については裁判例1、2、5、6が判断していますが、判断は裁判所ごとに分かれる部分があります。 1)意思決定の過程・前提資料の保護 裁判例は、自由な意思決定を保護し...