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検診より効果大の「農園」、被災者の心身健康に

スペシャル企画 2014年3月10日 (月)  池田宏之(m3.com編集部)

岩手県立高田病院の内科・消化器科の高橋祥氏は、東日本大震災発生から半年後の2011年9月に、北海道から現地に移り診療を続けている。仮設住宅における引きこもりを解消するために、休耕地を借り上げて、高齢者らに野菜などを作りながら体を動かしてもらう「はまらっせん農園プロジェクト」を始め、“生活不活発病”予防の1つのモデルケースとなった。現地の医師数などの医療提供体制は「ほぼ震災前の状態になったのでは」とするが、農園への参加傾向が少ない男性へのアプローチや、精神的な悩みを抱えている人への対応の課題は残されている。 岩手県立高田病院の内科・消化器科の高橋祥氏は、農園で体を動かしてもらうプロジェクトを、住民の健康維持につなげた。 農作業をやっている人が元気 1998年に札幌医科大学を卒業した高橋氏は、同大学の腫瘍・血液内科学講座で助教授になった後も、道内で消化器内科の専門医として診療を続けていた。高橋氏は、震災後、消化器の専門医がいない点に注目し、癌の早期発見・治療の手助けをしようと県立高田病院の常勤医となった。外来ブースも限られる中で、当初は、住民向けの健康講座でがん検診の受診を勧めて回ったが、...