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正しい初期研修とは何か

オピニオン 2014年4月9日 (水)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

4月である。桜もピークがすぎ、オリエンテーションも終わって本格的な新年度が始まった。 本日の回診では、新フェロー、1年目、2年目の研修医、6年生というフレッシュなメンバーが加わってカンファルームはすでにいっぱいである。来週からはこれに5年生が加わる。 ぼくは神戸大赴任時から卒後臨床研修センター、次いで総合臨床教育センターの副センター長をやってきたが、今年からこの任を解かれている。 この6年、神戸大の初期研修は、大きく質を向上させたと確信している。指導医の質も、指導の質もとてもよくなり、研究環境も改善した、はずだ。学生教育も含め、そのへんの改変は医学教育学会にも発表され、その多くは神戸大の学生自身が発表している。 しかし、そのようなぼくの確信は主観に過ぎない。 初期研修のよさはマッチ率とか、なんとか満足度とか、なんとか評価のような数値化で測れるものではないと思う。それは、むしろ絵画とか、スポーツチームとか、音楽の評価のようなものだと思う。しかしながら、そのような思いが既に主観である。各々が異なる教育観を持っており、望ましい教育のアウトカム観を抱いている。したがって、ぼくのこの6年が「ある...