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“事故調”の届出、刑罰追加の懸念 - 田邉昇弁護士に聞く◆Vol.2

インタビュー 2014年5月22日 (木)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――今国会に提出されている“医療事故調”の法案では、「医療に起因する、あるいは起因すると思われる死亡・死産であって、当該管理者がその死亡・死産を予期しなかったもの」を第三者機関に届け出る仕組みになっています。これはどう解釈すればいいのでしょうか。 法案では「医療機関の管理者が予期しなかったもの」と規定されています。医療機関の管理者は医師ですが、個別の診療の全てに関与しているわけではありません。個別事例について、管理者が具体的に死亡・死産の予期の可能性を判断するのは無理であり、それを求めるのは、そもそもおかしな話。したがって、管理者に求められるのは、「一般的な事例の知見として、そうしたことが予期できるかどうか」という判断になります。例えば、整形外科の手術後に、急に患者が死亡した場合、「肺塞栓か」とは医師であれば誰でも予期できるでしょう。急な死亡自体は全て、医師である管理者は予期していたということになりますし、誤薬についても、多数の誤薬事件の報道があるのですから、当然予期していた事件ということになります。 もっとも、個別事例と一般的な事例の予期について、両者の間に線を引くことは難しい。引こ...