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再現性という魔術

オピニオン 2014年5月26日 (月)  吉岡秀人(ジャパンハート代表)

私は”ゴッドハンド(神の手)”ともてはやされている人間は、好きになれない。 別に、嫉妬からそう言っているのではない。 組織を、あるいは医学と置き換えてもいい、それを発展させていくためにもっとも大切なことは何か? 上にいる者たちの芸術性と下にいる者たちの再現性だと思う。 マニュアルというものがある。 これの正体は、下にいる者たちの平均への引き上げの目的にある。 能力高きものは、マニュアルに従えば当然、パーフォーマンスは低下する。 なぜならば、人を相手とする場合、この世に同じ人間は存在しないからだ。 医療で考えると分かりやすい。 ある患者が、重症の治療の状態にあるとき、この患者に薬を与えるタイミング、その量、あるいは人工呼吸器の設定を変更する条件などは、すべて最適化されるべきタイミングというのがある。 ところが、マニュアルというのは、何時にどのくらい薬を使い、何時に血圧をはかりとすべて決まっている。 それは、能力が低いものが患者を看る場合にはかなりメリットが多い、しかし、医療のレベルが高いものがそれに従うとき、患者にとっての最適化のタイミングをみすみす逃すことになる。 よって結果は、実力以...