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アジア発の癌研究の国際連携

オピニオン 2014年6月3日 (火)  河原ノリエ(東京大学先端科学技術センター総合癌研究国際戦略推進講座特任助教)

この春、アジアがん研究連携を主題とし、延べ6か年続いた厚生科学研究の分担研究が終わった。(厚生労働科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業「日中両国を含む東アジア諸国におけるがん対策の質向上と標準化を目指した調査研究」(2008-2010年度)(研究代表田中英夫)および「アジア諸国でのがん予防、がん検診、がん治療向上のための調査研究」(2011-2013年度)(研究代表田中英夫))。 研究事業の選定課題、および評価委員会の判断基準は明確なデータの出る研究に主眼を置いており、研究資金は、通常、狭いトピックに特定された研究に向けられているものである。それゆえ、多国間でネットワークを構築するための議論や領域を横断する学際研究等は研究資金の確保が難しい。そのことが、特に自前の資金が乏しいアジア諸国との連携構築における障害となっていた。 しかし、今回の研究プロジェクトでは、アジア地域におけるネットワーク構築に向けた重要な探査研究を行うことができた。そもそも何が可能であり、短期的には何が有用であり、長期的には何がなされうるか、一定の目途をつけることができたと考えている。 具体的には、がんをアジ...