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エビデンスは常にある

オピニオン 2014年6月18日 (水)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

EBM(evidence based medicine)という言葉はすでに人口に膾炙し、EBMという言葉を知らない人はほとんどいなくなりました。 ただ、未だに「アンチEBM」の人は多いですね。 「アンチEBM」よりも、もっと厄介なのは「エビデンス」という言葉を「武器化」してしまう人たちです。 例えば、Aという抗菌薬を使ってはどうでしょう、とか何日間治療しましょうか、という話をした時に、「そんなのエビデンスあるんですか」という感じで反論されるパターンです。非常にまれではありますが、「エビデンスないんでしょ」を「お前のいうことは聞かないよ」という一種の「脅し文句」として使っている先生もおいでです。 残念な話ですが、「エビデンスないんでしょ」とか「エビデンスあるんですか」とおっしゃる先生がたは、ある意味「アンチEBM」派の先生たちよりもEBMを理解していない、と言わざるをえません。なぜなら、エビデンスは「ある」「ない」といった議論をするものではないからです。いや、エビデンスは「常にある」のです。 ときどき、EBMのことをランダム化比較試験(RCT)と同義だと勘違いしていらっしゃる先生がいます...