医師の過労死、2割減額なのか? - 岩城穣・弁護士に聞く◆Vol.2
インタビュー
2014年6月27日 (金)
聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
――では次に、過労死認定の判断についてお聞きします。 公務災害を認定する場合には、使用者の故意や過失の有無は関係なく、労働者保護の観点から、無過失責任で判断されます。しかし、民事責任は、過労死に至る予見可能性がなければ、認定されません。 岩城穣氏は、今回の民事訴訟の賠償金が、「医師である」と理由で、減額されるのは、納得できないと問題視する。 公立八鹿病院側は、立正佼成会附属佼成病院(東京都中野区)で小児科医が過労自殺した裁判の2008年10月の東京高裁判決に依拠して、「予見可能性が認められるためには、何らかの精神障害を起こす恐れについて、具体的客観的に予見可能であったことが必要」とし、本件ではそれがなかったと主張しています。 過労死裁判における予見可能性には、主に三つの説があります。第一は、「うつ病を発症して、自殺することまで予見できた」ことまでが必要とする、一番狭い考え方(A説)。これは病院側にとって有利な説であり、「まさか自殺するとは思いませんでした」と主張できれば、過失は認められません。 これに対し、一番広い考え方が、「過重労働をしていたことさえ認識していればよい」という説(B説...
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