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CRPの誤った使い方

オピニオン 2014年6月24日 (火)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

1万円を大金ととるか、はした金ととるか、、、これは諸説あることでしょう。大金と捉える人もいるでしょうし、はした金と考える人もいるでしょう。 問題は、大金、はした金のカテゴリーには客観的、絶対的な基準がないということです。それは主観の問題です。 また、9999円までがはした金、1万円になると大金、といった「境界線」も存在しません。お金のような連続変数を二元論で語るのは意味がないことなのですね。 CRPも同じです。 CRP(C反応性タンパク)は長く論争の的になってきました。とくにアメリカではCRPをあまり使わないこともあって、「CRPを使うべき」「使わない」論争は、日米感染症業界代理戦争の様相を呈していたのです。 しかし、CRPについて「役に立つ」「立たない」という二元論的な論争は不毛です。 CRPは連続変数です。「陽性」「陰性」と分けること「そのもの」が不適切です。身長を「高い」「低い」と分けるのが不適切なように。 その数値の解釈には主観が入ります。10以上を高いと考える人もいれば、20以上をそうだと思う人もいるでしょう。CRPという数値そのものは客観的で価値中立的なデータに過ぎませんが...