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高まる科学者の説明責任とコスト - 田中幹人・早稲田大学政治学研究科准教授に聞く◆Vol.3

インタビュー 2014年7月23日 (水)  聞き手・まとめ:池田宏之(m3.com編集部)

――今回の騒動は、インターネット上の匿名ブログの解析が大きなきっかけになりました。 インターネット上のコミュニティによる論文不正の指摘は、韓国の生物学者、黄禹錫氏のES細胞捏造の時代からありました。「オンライン査読」と呼ぶ人もいるようですが、インターネット上のリソースでレビューが出てくるのは、押しとどめようとする人がいたとしても、無理だと思います。ただ、今回のSTAP細胞の論文で特徴的だったのは、ソーシャル・ネットワーク・サービスを通じた情報拡散のスピードの速さで、次々と疑惑が拡散していきました。 ――拡散の結果は、何を引き起こしたのでしょう。 理研で小保方氏の論文を調査していた委員会の委員が、同様の「切り貼り」を指摘され、最後は山中伸弥氏の論文にまで、疑惑が持ち上がりました。山中氏らの場合は、所属する京都大学iPS細胞研究所で、知的財産や倫理のために雇われている人材がいたので、対応できましたが、ものすごく「説明責任」のコストが上がっていると感じました。全体として、いい加減なことをやると、釈明する時のコストがとても高い時代になったと思います。 今回の騒動では全体を見ていて、「accou...