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日本の臨床研究、数の集約化で質向上を - 大津敦・国立がん研究センター早期・探索臨床研究センター長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2014年9月30日 (火)  池田宏之(m3.com編集部)

――日本の研究者主導の臨床研究が、ICH/GCPに準拠していないのは、どのような背景があるのでしょうか。 日本で研究者主導の臨床研究でルール化が進まなかったのは、日本の臨床研究の研究が多くが企業任せで実施されてきたことが第一の要因と思います。裏を返せば、日本の研究者が、自主的に十分基盤整備を進めなかったということでしょう。レベルのあまり高くない臨床試験が多い状況もあいまって、未準拠の状態が続いてきたものと考えます。結局、日本の医学界全体として医師主導臨床研究に価値を置いてこなかったのが、問題だったと思います。 ――日本のレベルが高くないとは、どのような点なのですか。 そもそも、「医師主導臨床研究を何のためにやるのか」という科学的な根拠が弱い研究が多いと感じます。医師主導の臨床研究は、「現在の標準的治療をさらに上回る効果や安全性を科学的に証明する」などという趣旨でやるべきものですが、日本では研究目的が不明確で、出口を見据えないで実施している研究が多く、(ディオバンの事件のような)多くの問題が発生しています。医師に対して、大学でも、医師になってからも、臨床試験に対する教育が十分されてこなか...