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「入口」より「出口」の議論を - 中島和江・阪大病院中央クオリティマネジメント部部長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2014年10月14日 (火)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――WHOガイドラインは、事故事例の報告制度を成功させるための基本的考え方が書かれています。 医療安全を向上させるには、一つの医療機関の情報や教訓では不十分なため、全国レベルで事例を集めて分析し、再発防止策を検討するための報告制度が必要なのです。病院は既に、医療法施行規則に基づき、予期しない死亡や事故などを日本医療機能評価機構の医療事故情報等収集事業に報告しています。 例えば体外式補助人工心臓のカニューレが外れた事故。阪大病院で2005年に、脱血用カニューレ(チューブ)が外れる事故を経験し、記者会見を開き、外部委員を含めた院内事故調査委員会を設置し、詳細な内容を先に述べた機構に報告をしています。当時、他の病院での事故事例の報告は見当たりませんでした。 使っていた補助人工心臓は、ポンプ、脱血用および送血用のカニューレが患者さんの体の外に出ていて、ポンプとカニューレはタイバンドで機械的に締め付けることにより連結されており、体動などでチューブが外れる可能性があるタイプ。ある病院で起こった診療関連死モデル事業症例の評価結果報告書の概要を見ると、その病院および本院を含め、補助人工心臓のカニューレ...