1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. エボラ対応に見る米国地域医療の脆弱さ

エボラ対応に見る米国地域医療の脆弱さ

レポート 2014年12月15日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

12月14日に東京都内で開催された、「現場からの医療改革推進協議会」の第9回シンポジウムで、米国テキサス州のベイラー大学病院ベイラー研究所膵島移植部門の助教を務める瀧田盛仁氏は、「エボラウイルス2次感染で浮き彫りになった米国地域医療の課題―テキサス州ダラスでの事例から―」と題して講演した。 米国内でエボラ出血熱の感染が初めて確認された患者を診察したのは、テキサス州ダラスの中核病院の一つ、Texas Health Presbyterian Dallas。ジョージ・ブッシュ前大統領も心臓手術を受けた病院だ。リベリアでエボラ出血熱患者の搬送などの支援をした後に帰国した患者は、無保険者だった。瀧田氏は、最初に受診した際、抗生剤投与のみで帰宅したエピソードという視点から、一連の経緯を検証すると、オバマケア(Affordable Care Act)によってもなお無保険者が多い米国の現状や、医師不足で救急外来の待ち時間が長いなど、米国の地域医療が抱える問題点が浮き彫りになるという、ユニークな視点から講演した。 無保険者の診療は、病院の持ち出しになることが多く、保険者からの支払いも締め付けがあり、病院...