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新しい医療事故調査制度の施行に備えて

オピニオン 2014年12月26日 (金)  井上清成(井上法律事務所・弁護士)

1.新事故調は医療安全確保・学習目的・認知的予期 2014年6月18日に医療法が改正され、2015年10月1日より新たな医療事故調査制度が施行されることになった。医療の安全を確保するために、医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査結果を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組みである。 厚生労働省では既に「医療事故調査制度に関するQ&A」を公表し、省令・ガイドラインの策定のために「医療事故調査制度の施行に係る検討会」を開催し、その施行に向けた作業を始めた。 従来は、医療事故調といえば、制度目的は「原因究明・再発防止」、WHOドラフトガイドライン上は「説明責任を目的としたシステム」、予期の種類は「規範的予期」と捉えるのが常識であり、そうした傾向の類例としては「産科医療補償制度」や「モデル事業」が挙げられたものである。しかし、この度の改正医療法に基づく事故調は、それらとは趣を異にし、制度目的は「医療安全確保」、WHOドラフトガイドライン上は「学習を目的としたシステム」、予期の種類は「認知的予期」に...