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日本の事故調、諸外国の制度と相違 - 中島和江・阪大病院中央クオリティマネジメント部部長に聞く◆Vol.6

インタビュー 2014年12月27日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――改めてお聞きします。過去に収集した事例を基に再発防止を考え、それを実行するシステムを作ることが必要とのことですが、一定の定義に該当する事例は全例届け出を求める医療事故調査制度が2015年10月からスタートします。現場に混乱を与えず、かつ少しでも現場にとって意味がある制度にするには、どうずればいいのでしょうか。 とても難しい質問です。なぜ難しいかと言えば、新しい医療事故調査制度が、現行の医療安全に関連する制度のどこに位置づけられるのか、私にはよく分からないからです。海外のインシデントや死亡事例の報告制度には、大きく「医療の質・安全の向上を目的とする制度」と「死因究明を目的とする制度」があります。例えば、WHOドラフトガイドラインのモデルとなったオーストラリアには、前者として「AIMS;Australian Incident Monitoring System」、後者として「コロナ―制度」があります。 AIMSは非政府組織であるオーストラリア患者安全財団によって運営されている「学習」を目的とした制度で、インシデントに関して、医療従事者や医療機関だけでなく、患者や家族も報告できる自主的な...