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逮捕に導いた決定打は病理鑑定◆Vol.12

スペシャル企画 2015年1月30日 (金)  司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

※大野病院事件スペシャル対談のバックナンバーはこちら 安福 検察の捜査の関連で言えば、鑑定の問題も大きい。この事件を逮捕まで持っていったのは、新潟大学の当時の産婦人科教授、田中憲一先生が書いた鑑定書と言われていますが、それは違うと思う。県立医大の先生が行った病理鑑定が決定的だと私は思っている。 大野病院事件には、鑑定の在り方の根源にかかわる問題も凝縮されています。私が何度も通って、お話を伺った中山先生(当時、大阪府立母子保健総合医療センターに勤務していた中山雅弘先生)は、「臨床の経緯を十分に聞かないと、正しい判断はできない」。これは先生から最初に聞いた言葉であり、病理鑑定の基本。「カルテを読むだけではなく、できれば執刀医の方と話をさせてほしい」という意見が出たくらいに、この先生はこだわった。 それに対して、県立医大の病理医は、顕微鏡下で得られた情報が全て。それ以外の情報は有益ではあるけれども、別になくてもいい、というスタンス。ここに、鑑定人の姿勢として、非常に大事な問題が隠されていると思う。 鑑定を依頼する側から見ても、鑑定の委嘱の仕方が問われている。捜査側にしても、鑑定結果をただ鵜呑...