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メラノーマ治療、抗PD1抗体の期待と謎

オピニオン 2015年1月29日 (木)  石原藤樹(六号通り診療所所長)

今日はこちら。 今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、転移性悪性黒色腫(メラノーマ)に対する、新規免疫治療薬の効果についての論文です。悪性黒色腫で病変部位以外に転移の見られるものは、予後不良の癌として知られています。 最近BRAFという癌の増殖に関わる遺伝子の変異を、ターゲットにした分子標的薬による治療が、その奏功性の高さから注目を集めていますが、この治療は患者さんの4割程度の、特定の遺伝子変異のある人にしか効果がありませんし、効果は劇的ですが、その持続は平均で1年未満と、そう長くはありません。つまり、一時しのぎの治療です。 一方で身体の癌細胞に対する攻撃力を高め、それにより癌を治療しようという、癌の免疫療法という考え方があります。癌を充分退治するだけの武器と戦力が、人間の免疫にはあるのですが、敵もさるもので、その免疫を働きを抑えてしまうのです。免疫にブレーキを掛ける、というように表現をされる先生もいます。このブレーキを解除して、免疫細胞に100%の力で癌細胞を攻撃させよう、というのが免疫療法です。 これまでにCTLA-4抗体である...