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「医療否定本」との向き合い方

オピニオン 2015年2月21日 (土)  西 智弘(川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター 腫瘍内科/緩和ケア内科)

近藤誠をはじめとした、いわゆる「医療否定本」の類は、ここ数年で書店に急速に増えている。 これは、日本だけの現象なのかと思っていたら、海外でこの『がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと ケリー・ターナー (著)』が飛ぶように売れ、日本でも翻訳本がアマゾンでベストセラー1位になった、ということを聞き、「これも医療否定本の類かなあ~」と思いつつ購入してみた。 読んだ感想として、一言で言えば「危険」。 ただ、いろいろと思うところもあったので、まず何が「危険」と思ったかから書いていこうと思う。 ●「抗がん剤や放射線を否定しない」と書きながら結局否定的な印象を抱かせること この本の大まかな要点だが、世界には「がん」と診断され医師から厳しい余命を告げられながらも、そこから劇的な回復をみせ、がんが消えたり、長期生存した方達がいる。その方達は、これまでほとんど注目されていなかったのを、この著者が世界中を回ってインタビューや調査を行い、共通する行動パターンを明らかにしたというもの。 結果的に、9つの共通点と実践を明らかにし、それを患者さんのエピソードを交...