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健診通知の遅れ、雇用者に慰謝料330万

レポート 2015年2月20日 (金)  高橋直純(m3.com編集部)

健康診断結果の通知遅れが肺癌による死亡につながった――。そう訴える、肺癌で死亡した女性の遺族が、雇用していた法人に損害賠償を求めた裁判。横浜地裁(田中寿生裁判長)は2月17日、通知遅れと死亡の因果関係は認めることはできないとしつつ、女性が被った精神的苦痛の慰謝料などとして330万円の支払いを命じる判決を下した。 裁判の主たる争点は、(1)非正規雇用の女性に対して、施設側はどのような義務があったのか、(2)健診結果の通知は本当に遅れたのか、(3)通知の遅れと死亡に因果関係はあるのか――だ。 厚生労働省によると、雇用主が健診結果を通知するまでの期間に規定はない。医療者からは、緊急性のない定期健診であっても、通知の遅れが問題視されるとあっては責任が重すぎるという声が上がっている。判決を基に、原告、被告双方の訴え、裁判所の判断を整理した。 ◆事案の概要 原告は、2007年から2008年の1年間に、神奈川県にある一般財団法人「友愛会」の介護付き有料老人ホームに非常勤職員として調理場業務を担当していた女性(死亡時60歳)の遺族。 2008年2月18日、女性は法人がA病院において行った健診の胸部レン...