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家族への診察は医師の責任か、茨城医療過誤訴訟 vol.1

レポート 2015年2月27日 (金)  高橋直純(m3.com編集部)

救急搬送先の病院での診断ミスと転院先での無呼吸テストにより、女性患者が死亡したとして、遺族が双方の病院に対し、計約6400万円の損害賠償を求めた訴訟。水戸地裁(新谷晋司裁判長)は2月19日、救急搬送先の石岡第一病院(茨城県石岡市)に約3000万円、転院先の総合病院土浦協同病院(茨城県土浦市)に約60万円の支払いを命じた。 過失の有無や死亡との因果関係を巡って、治療内容を医学的に検証した典型的な医療裁判である一方、本件の特殊性は、死亡した女性の夫が医師であり自身で薬を処方するなどの行為を行っていたことにある。 複数ある争点の中で、(1)医師である、亡くなった女性の夫にはどのような責任があったか、(2)臓器提供を前提としない臨床現場での無呼吸テストに家族の同意は必要か――の2点について、裁判所がどのような判断を下したかを詳報する。 ◆事案の概要 茨城県内の女性(死亡時59歳)が2011年2月8日、A病院を受診し、左尿管結石と診断された。同日、B病院でも同様の診断が下された。女性の夫は元麻酔科医、現内科医で、女性のレントゲンを見たり、B病院が処方した薬とは違う薬を処方したりするなどの治療行為...