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NHKの癌医療に関する番組を見て

オピニオン 2015年3月16日 (月)  中村幸嗣(危機管理専門血液内科医)

NHK 特報首都圏より 「がん医療 あふれる情報にどう向き合う」を見ました。 番組は1人の55歳の乳癌患者の例示から、がんに対するあふれる情報に困惑する患者の現状を示す構成ではじまります。 きっかけは医師とのコミュニュケーションのズレでした。モニターをみながら、治療について話す医師。患者の意見を聞いてくれない、自分のことをわかってくれないと患者が不信感を抱いた時、言い切る言い方の標準治療の否定(近藤誠氏に対する反論の歴史 今回のテレビ出演に対する反応 極端な断言)にみせられ彼女はとんでも医療、がん放置療法に邁進しました。 とんでも本をいっぱい読む、抗がん剤は増がん剤と思い込み、がんに効く健康商品等を買いあさり2年が過ぎます。 2年後再診察した際には、乳がんは両胸に進行し、しこりの痛みが出現し、胸水が溜まり病状は悪化していました。そして乳がんは完治が難しい状態に進行していたのです。 増がん剤と信じきっていた抗がん剤の標準治療を受け、彼女の痛みは改善し、CTにて胸水や腫瘤がほぼ消失するという治療の効果が現れました。抗がん剤の恩恵です。彼女は過去の後悔を口にします。 標準治療を否定する医師に...