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群馬大学腹腔鏡事件の報告書は小学生レベル

オピニオン 2015年3月24日 (火)  坂根みち子(現場の医療を守る会代表世話人、日本医療法人協会 現場からの医療事故調GL検討委員会委員長、坂根Mクリニック院長)

3月6日に群馬大学医学部附属病院は記者会見を開き腹腔鏡下肝切除術で死亡した8例全例につき過失を認め謝罪し、事故調査委員会は報告書をホームページ上に公開した。世間では医師個人の責任追及が始まり、さっそく「医療問題弁護団」が訴訟の準備を始めている。本件については、群大の腹腔鏡下肝切除術の死亡率の高さが問題視されているが、今回は医療事故調査について、医療現場の視点からこの問題を考えてみたい。 1.驚くべき稚拙な「責任追及型報告書」 医療事故が起きた時の報告書は、今まさに厚労省の医療事故調検討会でも争点となっていたが、故意による犯罪でもない限り個人の責任追及をしてはいけない。医療は日進月歩であり、その分野の専門家で、かつ医療現場を良く理解し、その背後にあるシステム要因を見極める訓練を受けた者でない限り行った医療行為につき判定するのは難しい。 医療者は合法的に人に侵襲を加えることが許されている職業であるために、事故が障害や人の死に結びつきやすく、現在の法体系では通常の医療行為が容易く犯罪扱いになってしまう。未熟な手技を「犯罪」として扱ってしまえば医療は成り立たなくなる。WHOドラフトガイドライン...