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政治や特許の謎が残ったSTAP問題

レポート 2015年4月10日 (金)  池田宏之(m3.com編集部)

世間を大きく騒がせたSTAP細胞の問題。4月で退任した野依良治理事長は「全容を解明できた」としたが、肝心のES細胞の混入した人物が特定できないままだっただけでなく、政治に翻弄される科学の姿が見え隠れしたり、特許や広報についての不明な点が残り、今後日本の研究の在り方を考えるための材料が十分に集められないまま、幕引きとなった(『STAP問題、最大責任は「現場の研究者」と野依理事長』を参照)。 “真相究明”に後ろ向きな理研 一番の謎は、ES細胞の混入について、極めて高い可能性が示唆されたにも関わらず、混入者が特定できなかった点だ。ES細胞については、残された試料のDNA解析の結果として、撤回された論文の筆頭著者であった小保方晴子氏(元・理研ユニットリーダー)の共著者の1人であった若山照彦氏(山梨大学教授)の研究所で保管されていたES細胞が使われた可能性が高くなった(『若山、故・笹井両氏にも責任、理研不正調査』を参照)。論文不正の調査委員会の結論は「過失というより、誰かが混入した疑いがぬぐえない」としながらも、実行者の特定には至らなかった。理由として挙げたのは、酸性処理をした「STAP細胞」と...