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東京女子医大プロポフォール投与事件

オピニオン 2015年4月29日 (水)  大磯義一郎(浜松医科大学教授、医師・弁護士)

4月27日、東京女子医科大学病院が、いわゆる「プロポフォール投与事件」の外部調査委員会による事故調査報告書を、同病院のホームページ上で公表した(『「死因は禁忌薬の使用」、女子医大第三者委 』を参照)。 本件は、昨年3月に報道されて以降、大学の内部紛争に発展したり、遺族が院内で実施した事故調査報告書の撤回を要求したり、傷害致死で告訴しようとするなど、混乱を極めており、事件の顛末や報告書の取り扱いに注目が集まっていた。 筆者も注目していた者の一人だが、残念ながら公表された報告書の内容には、残念ながら問題があると言わざるを得ない。本稿では、本件報告書の問題点のうち、2点に絞ってその問題点を検討したい。 1.責任追及型の事故調査報告書であること 本報告書の構成は、(1)事実経過、(2)死因、(3)医学的評価、(4)再発防止策となっている。厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」でも議論となったように、(3)医学的評価、および(4)再発防止策は、記載方法を誤ると裁判等責任追及に用いるための鑑定意見書となってしまうことから十分な注意が必要であるところ、残念ながら、本報告書では、「禁忌薬に...