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初期研修、診療の幅と専門性のバランス必要

オピニオン 2015年5月16日 (土)  森田麻里子(仙台厚生病院麻酔科)

医師は、生涯にわたって学び続けることが必要だ。学生時代に一通りの知識を学んでも、それでは不十分だ。日々更新される膨大な医学知識を一人で全てカバーすることは不可能であり、初期研修医以降になると知識の幅広さと専門性のバランスが重要になる。 しかし、時代や場所によって求められるバランスは異なり、一定の見解はない。40歳代の先輩医師は「20年くらい前までは、早いうちに専門性を高めることが求められ、医学部卒業後すぐに大学で専門的な診療に従事していたが、結果として専門以外の疾患を診ることができないことによる弊害が出現した」という。現在はその反動で、各科をローテーションする研修制度が整備されたものの、逆に何でも幅広く診療できることが重視されすぎていると感じる。 初期研修医が内科の基本を学ぶことは重要だが、そのために必ずしも全ての科をローテーションする必要はない。例えば、私が初期研修を行った亀田総合病院(千葉県鴨川市)では、内科系は総合診療科2カ月の他に、6カ月の選択期間が与えられていた。2カ月ずつ3つの診療科をローテーションし、さらに自由選択期間も使って他の内科系診療科も回るのが一般的であった。 私...