産科医療補償、「カルテなくして補償なし」
レポート
2015年5月15日 (金)
橋本佳子(m3.com編集長)
池下レディースチャイルドクリニック(東京都江戸川区)院長の池下久弥氏が、産科医療補償制度の補償金の支払いを求めて、東京海上日動火災保険株式会社を提訴した、保険金請求裁判の控訴審判決が5月14日、東京高裁(須藤典明裁判長)で言い渡され、2014年12月の東京地裁判決と同様に、池下氏の請求を退けた。池下氏は判決を不服として上告する方針。 産科医療補償制度は、5社の損害保険会社による共同保険で、東京海上日動はその幹事会社だ。日本医療機能評価機構がその運営に当たる。東京高裁判決は、「本制度の保険契約上、東京海上日動は、脳性麻痺となった児が、日本医療機能評価機構によって補償対象であるとの認定を受けた場合に限って、支払義務を負う立場にある」とし、機構の認定を経ずに東京海上日動が支払う理由はないと判断した。これは東京地裁判決と同様の論理だ。 本裁判は、池下氏自身が2012年8月に緊急帝王切開手術を担当した、重度脳性麻痺の子供の補償をめぐるもの(詳細は、『「カルテで過失の有無を判断」、保険会社が答弁』を参照)。2014年3月に、日本医療機能評価機構に対して補償申請した際、「診断書」などで補償対象基準を...
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