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「新たな被害者を作るな」、事故調査に警鐘

レポート 2015年5月18日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

5月16日に開かれたNPO法人医療制度研究会の第86回講演会で、浜松医科大学医学部法学教授で、医師で弁護士でもある大磯義一郎氏は、「医療者の人権保護からみた医療事故調査制度の問題点」と題して講演、この10月から医療事故調査制度が始まるのを踏まえ、「医療事故の調査で、医療者の新たな被害者を作ってはいけない」と警鐘を鳴らし、同制度を医療者個人の責任追及ではなく、真に医療安全に資する制度として運営していく重要性を繰り返し強調した。 浜松医科大学医学部法学授の大磯義一郎氏。 そのためのカギとして、大磯氏が挙げたのは、2点。一つは、弁護士の利益相反と病院管理者の利益相反という、二つの利益相反をいかにマネジメントするかだ。もう一つは、「国際標準から50年遅れている我が国の医療安全への取り組み」(大磯氏)について、その遅れを早急に取り戻すこと。 大磯氏がこれらの二つの問題が内在している例として挙げたのが、昨年4月の国立国際医療研究センター病院の造影剤ウログラフインの誤投与事故(『造影剤の誤投与事故、「間違いない」と担当医』を参照)。病院管理者は、個人責任に帰着させて事故対応をするのは、病院管理者らの...