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除染作業員の健康懸念、基礎疾患の未治療多数

オピニオン 2015年5月27日 (水)  澤野豊明(南相馬市立総合病院、初期研修医)

放射能汚染と聞けば、被曝による健康被害を想像する方が多いのではないだろうか。2011年3月に東日本大震災ならびに福島第一原発事故の影響を受難した福島県南相馬市では、現在でも被曝線量軽減のため除染作業が行われている。最近私たちが行った調査では、除染作業員の健康は放射能被曝というより、もともとの健康状態が関連している可能性があることが分かった。 そもそも除染作業員とは、南相馬市を含む放射線量が高い地域で、住居や農地の放射線量を表土剥離や枝切りなどで少なくする作業を行う人員だ。福島県内には1万5000人から2万人、南相馬市内には5000人以上いると考えられているが、その正確な数は把握されていない。作業は一見簡単そうに見えるが、汚染された地域は広大で、それらの作業には多くの人員が必要だ。彼らは県内のみならず全国から来る、出稼ぎ労働者が多い。一般的に出稼ぎ労働者は生活習慣病のリスクが高い可能性があると考えられるが、除染作業員の健康に関しては情報が皆無に等しかった。 そこで私たちは彼らの健康・社会的リスクを知るため、南相馬市立総合病院に入院した除染作業員を調べ、5月の第88回日本産業衛生学会で発表...