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公立病院での少し困った裁判和解例

オピニオン 2015年6月13日 (土)  中村幸嗣(危機管理専門血液内科医)

すこし困った裁判和解例がでました。(悪性なのに良性と誤診…がん性腹膜炎で死亡 患者側と国立病院機構が4千万円で和解)マスコミの取材が足りないだけかもしれませんがとても問題です。 私の専門領域ではありませんが、解説します。 >女性は17年7~8月、センターで検査を受け、膵臓(すいぞう)にできた嚢胞(のうほう)(液体がたまる袋)について、担当医から良性の「膵仮性(すいかせい)嚢胞」と診断された。 おそらく人間ドック等でみつかったものだと思われますが、普通膵臓の嚢胞性病変をみた場合、仮性膵嚢胞を第1にあげることが多いです。 ただ医学定にはそこから数ヶ月毎に画像検査をおこない大きくならないかを確認していきます。もし大きくなってきたら、手術を含めた侵襲のある生検検査をおこない診断を確定します。もし記事にあるように血液検査だけのフォローだけなら問題ですが、画像検査を年に1回程度行っていたとしたらそれは医療ミスではありませんし、誤診ではありません。 >訴訟で遺族側は、17年当時の検査結果から、嚢胞を良性と判断したのは担当医の誤診だったと主張。漫然と経過観察するのでなく、悪性の可能性を考慮して嚢胞を切...